ほとんどの事業者が
スラッシュを使う理由

 原材料と添加物を区別して表示をする方法は「/」だけではありません。
 そもそもは次の表示例(2)のように「原材料と添加物の欄をそれぞれ設ける」ことになっています。

 ただこの方法では、表示エリアが広くなること、および、添加物があまりにもハッキリわかってしまうことから、ほとんどの事業者は、特例として認められているスラッシュルールを使って表示をしています。

 なお、特例表示は「/」以外にも2種類ありますが、ほとんど目にすることはありません。

 なぜ「/」にしているかというと、大きく二つの理由があります。

 一つ目の理由は「食品表示法施行前の表示と比べて文字数が変わらない」ことです。「、」を「/」に変更するだけなので、原材料表示欄の行数が増えず、デザイン変更をする必要がなかったからです。

 そして二つ目の理由は、一番目立たない方法なので、消費者がスラッシュルールを知らなければ「表示が変わったことに気付きにくい」ということです。

 テレビや新聞、雑誌などのマスコミでは、新表示についてほとんど報道していないので、多くの消費者がこのことに気付いていません(実は食品業界の関係者ですら知らない人が多いのです)。

 特にテレビでは、添加物を扱うことはタブーになっているので、私の知る限りこのルールを取り上げた番組はありません。

 ところが、消費者の皆さんは添加物の知識に飢えています。私は、講演会の時に、必ずスラッシュルールについてクイズを出しますが、クイズの回答で「/」以降が添加物だと知った途端、消費者の皆さんの目の色が変わります。驚きとともに「これはいいことを聞いた」という表情をされます。

 以前は、講演会などで「どこからが添加物なのですか?」「何か決まりはないのですか?」とよく質問されていましたが、今は「/以降が添加物です」と簡単に答えられるようになりました。