「出会う人みんなと仲よく」でなくていい

 世の中には、大勢の同僚と仲よく付き合いながら、仕事は仕事できちんとこなす人もいますが、そうではない人もいます。

 私は、大多数の集団のなかでたくさんの友だちをつくることができなくても、小集団で仲間と楽しく過ごせれば、それでいいと思っています。出会う人みんなと仲よくしようとしなくても、人生はやっていけます。

 私は「ネスト・ジャパン」というNPO法人を運営していますが、この団体では、大きな社会のなかに趣味の小集団をつくり、さまざまな人の居場所にしていこうという活動をしています。(https://www.nest-japan.org/

 学校や会社では勉強、仕事に集中し、それ以外の場で仲間をつくって楽しくやっていくというのも、いいのではないでしょうか。

(本原稿は、本田秀夫著『「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる』より一部抜粋・改変したものです)

本田秀夫(ほんだ・ひでお)
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長
特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事
精神科医。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より、同子どものこころの発達医学教室教授。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会理事、日本自閉症協会理事。2019年、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に出演し、話題に。著書に『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(以上、SBクリエイティブ)、共著に『最新図解 女性の発達障害サポートブック』(ナツメ社)などがある。