コロナの感染拡大が長期化する中、人々の住宅ニーズが徐々に変わりつつある。テレワークやオンライン授業などが主流となるであろうアフターコロナに向けて、「住みたい街」と「住みたい家」を正しく選ぶにはどうすればいいのだろうか。(LIFULL HOME’S総合研究所 副所長チーフアナリスト 中山登志朗)
コロナ感染は第5波でも
対策の決定打なし
世界的に鎮静化の兆しを示していたコロナウイルスの感染だが、デルタ株の感染拡大やワクチン配分の世界的不均衡などにより、世界的に再び増加する傾向にある。アメリカでは8月下旬から連日15万人前後、イギリスやインドでもそれぞれ4万人前後の新規感染者が発生しており、ワクチン接種は着実に進んではいるものの、世界的な感染の収束には相応の時間を要するものと考えられる。
日本でも7月上旬に2000人弱で推移していた新規感染者が7月末には1万人を突破し、8月のお盆の頃には2万人を超えるという急速な拡大が発生している。
この間、東京に発出された緊急事態宣言は、東京を含む6都府県から13都府県へと順次適用範囲が拡大されており、まさに感染拡大に歯止めがかからない状況が訪れている。この感染拡大によって、病床数のひっ迫で入院できないどころか自宅療養のまま死亡する例も増加し、まさに恐れていた医療崩壊との声が大きくなる中で、我々が取ることのできる対策は唯一、可能な限り移動・外出を避け、人との接触機会を極力減らすことだ。
ワクチン接種に関しては、早くも海外で3回目の“ブースター接種”が始まっており、また2回の接種後に相応の期間を経ても陽性となる“ブレークスルー感染”も起きていることから、ワクチン接種が収束に向けての決定打とみるにはやや疑問が残る(それでも接種を回避するのはリスクである)ため、ソーシャル・ワーカーを除いて可能な限り多くの国民が、“家にこもって動かずにいる期間を設ける”ことが感染拡大を防ぐ方法ではないか。