これまで対面でやっていた会議をそのままオンラインで実施しようとしても、どうしても会議が活性化しないという問題が起きがちです。今までは意見を言いたそうにしている人がいれば、その様子を見て、ファシリテーター(司会進行役)が意見を引き出すことができました。また、バラバラと出た意見を、ホワイトボードにまとめていくことも容易にできたことでしょう。全体の論調と異なる意見を述べたり、はっきりまとまっていない意見を話したりなど、余裕を持って話すことが難しい場合にも、隣の人に助け船を出してもらいながら発言するような場面もあったと思います。

 こうした対面会議ではよくあるシーンが、オンラインでは様子が変わってきます。オンライン上で発言をする場合、よほど慣れている仲間どうしか、発言内容に自信がある場合でないと、自分から発言するにはかなりプレッシャーがかかります。それは、今の会議システムでは同時に複数の人の声を拾うことができないため、「発言者1人vs残り全員の視聴者」という構図になりがちだからです。オンラインで発言をしていると、誰しもアウェー感を味わうのではないでしょうか。このアウェー感があると、発言者はなかなか自分の意見を最後まで言い切ることが難しいかもしれません。

ポイントその1
「うまく話せない」と思う人ほど、事前の準備が有効

 では、参加者に自分の意見をしっかり伝えてもらうためには、どんなことが必要でしょうか。まずは自信を持って話せるよう、参加者に会議で発言する準備をしてもらうことが大事です。どんなことを期待されて会議に呼ばれているのか、どのようなことについて意見を述べてもらいたいのか、など、参加者に自分事として理解してもらうことが大切です。

 そして聞き手の作る空気感にも配慮が必要です。例えば、上の立場の人がオンライン会議システムにログインしてきて、明らかに機嫌が悪そうに腕組みをしてカメラをにらんでいたとしたら、他の人たちは発言しようという気になるでしょうか? 

 オンライン会議では、どれだけ権力がある人であっても、他の参加者たちと同じサイズでしか画面表示されません。しかし、話し手が画面を見ながら話をする際、話しにくい人が画面上にいると、ついその人に気を取られてしまい、最後まで自分の意見を言い切ることができずに「以上です」といって発言を終えてしまうこともあるでしょう。

 こうした事態の対策として、事前に2~3ページでいいので簡単な資料を準備して投影しながら話せば、気になる人の画像も表示サイズも小さくなり、お勧めです。また、もしあなたが会議オーナーの立場であれば、会議のルールとしてリアクションを返すように事前に参加者に伝えておくことも有効です。