「数字はファクト。ビジネス文書で相手に説得力や納得感を与える大きな武器になる」 ――。とはいえ、やみくもに数字を入れれば文章が分かりやすくなるというわけではない。数字の使い方には“コツ”がある。日経新聞記者として30年のキャリアを持つ白鳥和生氏の著書『即! ビジネスで使える 新聞記者式伝わる文章術 数字・ファクト・ロジックで説得力をつくる』(CCCメディアハウス)から一部抜粋・再編集し、「特別なセンスはいらない」という具体的な数字の使い方について解説する。
読む人によって
「伝わりやすい数字」は違う
ビジネス文章に説得力を持たせる「近道」は、数字を使うことです。数字を使うことで、誤解なく情報が共有でき、正確な共通認識が生まれます。「なるべく早く」と言われても、人によっては認識に開きがあるはずです。「3日後」「1週間後」などと数字を使えば間違いは起きません。
『ファクトフルネス』は、思い込みにとらわれず、数字と事実で真実を見極めようとする態度の重要性を説きました。ベストセラーになったのは、同書の主張に納得感があったからでしょう。説得力のある主張は読む人や聞く人に納得感を与え、人を動かす“武器”になります。
数字は客観的事実(ファクト)であり、相手に文句を言わせないパワーを持っています。
さらに納得感や説得力を高めるためには、相手(読み手や聞き手)が持つ「ものさし」を利用することです。だれでも育った背景や学んだ分野によってそれぞれの判断基準を持っています。言い換えれば、その人がピンとくる指標や単位を使うことで「伝わる文章」に仕上げるのです。
農業を営んでいる人なら「1反」の広さはわかるかもしれませんが、住宅関係の人なら300坪といった方がわかりやすい。平方メートルなら991.74平方メートル。小中学生なら学校のプール(25メートル)6個分、畳600枚分といったらよいかもしれません。
ビジネスでは、動いて欲しい相手が重視している指標で伝える工夫が求められます。