・もっと効率的に資産を増やせないか?
・会社の財務をもっとうまく管理できないか?
・画期的で新しいアイデアやテクノロジーを生み出して儲けられないか?
不安定さを増す世界で、私たちは好むと好まざるとにかかわらず、日々そんなことを考えざるを得なくなっています。お金で愛や幸せは買えないとはよく言ったものだけれど、お金がなければその先に貧困や満たされない人生が待ち受けているのもまた事実だからです。
16歳でケンブリッジ大学に進んだという逸話を持つアマチュア天才数学者、ヒュー・バーカーは、新著『億万長者だけが知っている教養としての数学』の中で、そんな世知辛い世の中で一際役に立つものこそが「数学」だといいます。「数学を使って儲ける」ためのあらゆる知恵を網羅した同書から、とっておきのトピックを紹介しましょう。
数学教授ですら間違えたモンティ・ホール問題
これまで見てきたとおり、確率に対する私たちの直感は驚くほど不正確なことがある。モンティ・ホール問題はその好例だ。1960年代のアメリカのゲーム番組『レッツ・メイク・ア・ディール』で、司会者のモンティ・ホールが出場者にこんな取引を持ちかけた。
3つのドアのうち、ひとつのドアの後ろには景品の自動車があるが、残りのふたつのドアの後ろにはヤギがいる。あなたはひとつのドアを選ぶ(1番ドアとしよう)。すると、司会者が別のドア(3番ドア)を開けてヤギを見せたあと、あなたに選択を迫る。1番ドアのままにするか、それとも2番ドアに替えるか? さて、景品の自動車を獲得するには、選択を替えたほうがいいか?
替えても替えなくても同じ、というのがほとんどの人の第一感だ。閉まっているドアはふたつあるわけだから、どちらのドアに自動車が隠れている確率も50%ずつで同じに思える(図24を参照)。