不動産価格がこの先も下がらず、税金的にもいま有利ならば、
早めに買っておいた方がいいかも(小林)

司会 よく成功している不動産投資家は、自分では賃貸にしか住まないっていう話を聞いたりするんですけど、それって本当なんですか?

日下部 私の知り合いで高級分譲マンションを転々としている方がいますね。間に賃貸を挟んだりして、所有物件を買ったり売ったりしながら住み替えているそうです。特にいい部屋だと、一部屋でかなりの利ザヤが取れたりするので。それにいろいろ住めると思うと楽しいですよね。ただ引っ越しは面倒だと思いますが。いまグレードの高い賃貸に住み替えて、様子見している方は案外多いかもしれません。

小林 そうですね。どっちがいいっていうのは、なかなかむずかしいですね。

日下部 ただ、もうすでに70過ぎとか70代後半とかだと、賃貸の中でもなかなか選べなくて、UR都市機構とかJKK(東京都住宅供給公社)とか、年齢に関係なく借りられる公団しか、逆に借りられないと思うので…。どっちもリスクはあるのかなと思います。

小林 そうですね。

日下部 それこそ賃貸だったら、湯水のようにずっとお金をたれ流しているだけっていうふうに考えたら、まあ確かにそのとおりですけど。ただ、例えばアメリカみたいに飛行機が突っ込んで来たり、フロリダのリゾートマンションみたいに崩壊したら、極端な話、そのマンション終わっちゃうじゃないですか。実際にはそんなことはないでしょうけど……。でも普通に考えると、やっぱりゲリラ豪雨と地震は、最近よくあるので、地盤が低い低層階なんかは、所有もちょっと怖いなって感じはしますけどね。

司会 先ほど、新築マンションの高値が続いているというお話でしたけど、そうすると今すぐ買うべきではなくて、少し様子を見ましょうということですか。例えば、来年とか再来年ならいいということですか?

日下部 ただ、いまのところ価格が下がる要素は、ほとんどないんですよね。

小林 なら、早めに買っておいた方がいいということですか?

日下部 でも、高いので「いまでしょ」とも言えないです。じゃあこのままどっかでガクッと下がるかと言われると、人件費や建築費の高騰とか、土地の価格も上がっていて、今トリプルパンチで上がっているんですよね。

小林 そうなんですね。

日下部 特に新築だと、最低でも3年計画ぐらいで用地の仕入れをして建てていると思うので、今のところ3年先ぐらいまで出てくるマンションは、今の状況とほとんど変わらないと思います。

小林 なかなか大変ですね。

日下部 コロナの感染拡大もあって、新築の供給数が減っているので……。ただ、買いたい人は、いつの時代にも一定数いるので、需要と供給のバランスで、今は資産価値以上に値段が上がっている感じになっています。総合的に考えて、ここ数年で見れば下がる要素がないのが現状です。恐ろしい話なんですけどね。

小林 税金面から言っても、今買い時というか、消費税が8%から10%に上がった影響を緩和するために、住宅ローン控除を従来のものより有利にしたりとか、住まい給付金が出たりとかしてるんです。でも、それが終わってくるんですね。基本的に2021年までで、延びても2022年までで終わっちゃうので。だから、不動産価格がこのままこの先も下がらないし、税金的にもいま有利ということであれば、早めに買っておいた方がいいということになってくるんですかね。

日下部 なかなか、難しいです。とにかく、まずは頭金を貯めることをおすすめしたいですね。

つづく(次回は、10月3日に掲載します)