マンションを買ってからも一苦労…
水回り、騒音トラブルも

 また、「マンションを買う」までも一苦労なのだが、買ったからといって安心できるわけではない。買ってからもまた、大変なのだ。

 中国の新築マンションは、一部を除き、内装工事が施されていない状態での引き渡しが一般的となっている。内装は、契約者自らホームセンターで建材を購入し、施工業者(地方からの出稼ぎ労働者が多い)に工事を依頼する。その上、自分自身が現場監督を務めなければならないのだ。これは施工業者が手抜き工事をしたり、建材を横領したりすることがないように監視するためだ。

 そんなこんなで、ようやく家の内装が終わってめでたく新居に入居しても、なかなかくつろぐことができないというケースも多々ある。隣や上下の階で、内装工事による騒音が昼夜を問わず鳴り響くのだ。マンションの売買が活発化している中で、住人が変わる度にリフォーム工事が行われ、常にどこかしらで工事をしている……ということも珍しくない。騒音をめぐる住人同士のトラブルも日常茶飯事だ。

 また、住宅の質が価格に見合っていないこともある。中国では、それほど年数がたっていないマンションでも、水道やトイレの配管が詰まったり、天井から水が漏れたりするなど、水回りのトラブルが絶えない。

 今年5月、あるニュースが人々に衝撃を与えた。イノベーション先進都市として世界でも注目され、中国国内でも不動産価格の上昇がとりわけ著しい深センでの出来事だ。深センの南山地区にある超高級マンション群(1戸の価格2億円以上)で、連日の暴雨により、排せつ物が含まれる汚水が水道の配管を逆流。水を使った住民が、「シャワー後に、体から変な臭いがした。沸かした水を飲むときに異臭がしていた。下痢や湿疹の人が続出している」などと訴えたのだ。

 ほとんどの住民が浄水器を使っており、なんとか臭いは抑えられたというが、それでも約1000世帯の住民たちが2カ月間も汚水を薄めた水を生活用水として使っていたと思うとゾッとする。

 これ以外にも日本の不動産の常識と、中国のそれは大きく異なることが多々ある。例えば、中国の住居用マンションの土地は国が所有し、借地期間は70年とされている。また、マンションの販売価格は、建築面積で表すのが一般的だ。建築面積で100平方メートルの物件は、専有面積だと60~70平方メートルほどになる。

 一方で日本の場合は、土地の所有ができ、価格は専有面積で示される。当たり前のように感じられるかもしれないが、すでに内装が済んでいることも中国人にとってみれば、大変魅力的な要素の一つだ。日本の物件を見ると皆、「こんな品質でこの値段?安い!うらやましい!」と、口をそろえる。