「またか」――。11月16日から3日間に渡って行われた事業仕分けで「市販品類似薬」がテーマに取り上げられた。「すっかり財務省らのターゲットになっている」と医療関係者たち。市販品類似薬が議論されるのはこれで3度目だ。
市販品類似薬とは、医療機関で処方されているが、薬局でも処方箋なしで購入できる医薬品のこと。湿布薬、うがい薬、ビタミン剤、漢方薬、風邪薬(総合感冒薬)などが代表的だ。これら市販品類似薬を公的医療保険の対象外にするか、もしくは自己負担額を引き上げるべきではないかという議論が事業仕分けで繰り返されてきた。
事業仕分けは、国の事業の妥当性を検証するために2009年から民主党政権が実施してきたもの。当初は政権交代の象徴として世間の注目を集め、大会場に大勢の傍聴者が押し寄せた。今回は衆議院解散後ということもあって盛り上がりに欠け、会場は会議室1室のみだった。
過去の仕分けを振り返ると、09年11月の仕分けでは「市販品類似薬を保険外とする方向性」が示され、11年11月では「自己負担割合の引き上げの試行」や「一部医療保険の対象から外すことについても検討」という結論が出された。
12年度からの診療報酬改定では、すべてのビタミン剤について単なる栄養補給目的での投与は医療保険の対象外とされ、処方できなくなった。財務省や厚生労働省によると、これにより約164億円の節約が見込まれるという。
湿布薬、うがい薬、ビタミン剤などの市販品類似薬は、医療関係者の間で 昔から“3匹の子豚”と呼ばれている。財務省という“狼”から医療費削減策の標的として狙われ続けているからだ。
市販品類似薬の多くは、薬局店頭で購入するより、医療機関で処方してもらって入手した方が患者の自己負担は少ない。これが「過剰な処方や残薬を生み、医療費を無駄使いしている」というのが、財務省側の考え方である。