全員型「働きがいのある会社」
になるための条件とは

 全員型「働きがいのある会社」とは、マネジメントと従業員との間に「信頼」があり、1人ひとりの能力が最大限に生かされている(For All)会社のことを指します。そこには優れた価値観(バリュー)やリーダーシップがあり、イノベーションを通じて財務的な成長を果たすことができる、としています。

 GPTWはこの全員型「働きがいのある会社」モデルをグローバル共通指標として運用し、世界各国の働きがいのある会社を同じ評価軸で評価しています。その結果、働きがいの高さが認められた企業を認定し、ランキング形式でも社名を発表しています。

 私たちの提唱する全員型働きがいモデルにより測定されたスコアや、各国で発表しているランキングをベンチマークとして、中長期的な企業価値向上に向けて取り組んでいる企業は増えています。世界に目を向けると、たとえばAdecco Groupは非財務指標としてGPTWのランキングをKPIに置き、アニュアルレポートを公開しています。レポートの中ではSDGsのいくつかの目標を引用しながら、優秀な人材を獲得して共に成長していくためには、働きがいのある職場づくりが欠かせないとしています。

http://e3.marco.ch/publish/adecco/239_6267/Adecco_Group_Annual_Report_2020.pdf
(Adecco Group 2020年アニュアルレポートよりP.32,39参照)

 働きがいを高めるためには、まず自社が目指すビジョンや価値観をはっきりさせることが大切です。社員にとって、他にも無数の会社がある中で、「なぜこの会社で働くのか」という働く動機となるものです。

 次に、そのビジョンや価値観に共感できる人材を集める(採用する)こと。そして、目的に向かって協力し合えるよう、タテ・ヨコのコミュニケーションが活性化する施策を積極的に打つことが欠かせません。それらを通じて、職場には一体感や仲間意識が生まれ、自社らしいカルチャーの形成に繋がっていきます。

 この動きをつくるためにも、まずは自社の働きがいの現状を測定し、全員型働きがいのモデルに照らしたときに何が強みであり、何に成長の機会があるのかを把握することは第一歩となります。そこから、自社らしい働きがいの高い状態を言語化し、目標を設定して課題に取り組むことを社内外に公表していきます。

 これらの取り組みによって、働きがい向上の動きを目に見える形で加速させていくことが、企業価値の持続的な向上に繋がっていくと考えます。

(働きがいのある会社研究所 代表取締役社長 荒川陽子)