地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中で、一番問題とされるのが二酸化炭素(CO2)、その次がメタン(CH4)である。どちらにも炭素が含まれるので、地球温暖化を防ぐためには「脱炭素化が必須」といわれる。

 メタンでやり玉に挙がっているのが、反芻(はんすう)動物のゲップだ。牛肉の代替肉として大豆肉を食べれば牛の飼育数が減るので、メタンの排出量も減らすことができるということだ。

 しかし、肉類を大豆肉に変える食生活にすることは、本当に脱炭素化になるのだろうか。また、健康面でもプラスになるのだろうか。

大豆増産のために
森林伐採が進む恐れ

 大豆は、年間約1592億円、約316万トンを輸入している(2020年実績)。輸入大豆の多くは油糧用(油脂原料や油かすなど)で、食品用は約84万トン。国産大豆の約21万トンと合わせても、食品用では約105万トンしか流通していない。輸入先は、米国が約73%、次いでカナダが約14%、ブラジルが約12%である。

 こうした状況で、もしも大豆肉ブームが起きて、日本国内で1000万人が、毎日、昼食か夕食のどちらかで200gの大豆肉を食べたとすると、年間73万トン(200g×1000万×365日)の大豆を追加で消費することになる。では、73万トンもの大豆をどこで確保するのか。

 自給率については、前回の記事でも詳しく述べたが、日本の穀物自給率は非常に低い。特に大豆は、農畜水産物の品目別自給率の中でも最低の6%である。日本国内で、現状20万トン程度しか生産できていないのに、いきなり3~4倍も増産することは不可能だ。

 国産大豆の生産拡大が見込めないとなると、輸入に頼るしかない。しかし、食品用は84万トンしか輸入していないのに、その2倍近い量を輸入することはほとんど無理だろう。