「2021年もっともブレイクした人」と言っても過言ではない、ひろゆき氏。
彼自身、今のブームをどのように捉えているのか。どのような戦略があったのか。
また、今後ブレイクするための条件は何なのか。
全7回にわたって、本人が自ら語る「ひろゆき徹底解剖」をお送りする。6回目は、個人に「勝手にお金が入ってくる仕組み」とその波に乗るために必要なことを聞いた。(構成:種岡 健)
編集する人が稼げる時代
――いま、YouTubeでは、ひろゆきさんの切り抜き動画で溢れていますよね。素人に勝手に編集されることには、本当にこだわりはないんですか?
ひろゆき氏:ないですね。前回も語ったように、「ひろゆき」は、すでに一人歩きしているキャラクターですからね。二次利用してもらったほうが広がるだろう、という仮説を検証する実験台ですから。
ちなみに、切り抜き動画で儲かる人は、「編集する切り抜き師」、「僕」、「ガジェット通信」の順番で取り分を分け合っています。具体的には、切り抜き師が「50%」、僕が「40%」、ガジェット通信が「10%」です。
――切り抜き師が一番お金をもらっているんですね。
ひろゆき氏:はい。僕のほうが少ないんですよね。切り抜き師の編集作業のクリエイティブに対価を払ったほうが平等だと思っています。今は、そこで、熾烈な競争原理が起こっています。
僕はあくまで腹元ですから。何もせずにチャリンチャリンとお金が入ってくるのだから、ちゃんと編集する人に支払ったほうがフェアだと思っています。
編集スタッフを雇わない理由
――編集に対するリスペクトはあるんですね。
ひろゆき氏:あと、単純に「スタッフを抱え込みたくない」という理由もあります。ある程度の登録者数まで行った人は、だいたい編集スタッフを雇っていますよね。それって、とても非効率だと思うんです。
ヘタに人を増やすと、いざというときにクビにはできないですし。彼らを食わせる必要が出てきて身動きが取れなくなり、自縄自縛状態になると思うんです。
その点、僕の場合は、完全にお金だけの関係として割り切っていますから。
――そういう事情もあるんですね。
ひろゆき氏:たとえば、アップルやユニクロは、自社の工場を持っていないですよね。世界中の他の企業に部品を作らせて、それを買い取ってブランディングしたアップルストアなどで売るというビジネスモデルです。
自社で工場を抱えてしまうと、どうしても制約が生まれてきます。「そういう製品はできない」「それには時間がかかる」などというラグが発生します。
でも、外注の人であれば、「あ、それならウチがやりますよ!」と、スムーズに物事が進みます。僕の切り抜き動画も、それの個人バージョンだと思ってくれるといいと思います。
――ガジェット通信に10%が行くことは、ひろゆきさんにとってはどういう意味があるんでしょうか?
ひろゆき氏:権利関係とかシステムまわりを管理してもらっていたりするので、そこの会社が潰れちゃうとめんどくさいことが発生してくるんですよね。なので、そこにもちゃんとお金が入るようにしておきたいと思っているだけです。
本当は、ガジェット通信を中心に、僕の後続となる切り抜きブームになる人を育てたかったんですが、それは、この連載でも語ったように、できなかったですね。
あるいは、各メディアに対して切り抜き記事を発信している、いわば種岡さんみたいなポジションの人が社内にいればよかったのかもしれません。