とはいえ「個人」が最強

――人を育てる仕組みづくりは今後の課題なんですね。

ひろゆき氏:ええ。とはいえ、今は圧倒的に個人の時代ですからね。テレビ局と芸能事務所がタッグを組んだらスターが作れるかというと、もうそういう時代ではないじゃないですか?

 個人として、TwitterやYouTubeで数字を持つことが可視化されていますから。各メディアはそれを追いかけたほうが早いのは誰が見ても明らかですよね。

 ジャニーズや吉本興業などの大手事務所を抜けた人が、伸び伸びと活躍できる時代でもありますし。彼らが自由にネット上だけで食べていけることも証明されていますから。

――ひと昔前なら、ひろゆきさんにも芸能事務所からオファーが来て、そこと専属契約を結んで、「笑っていいとも」のレギュラーになったりしていたんでしょうね(笑)。

ひろゆき氏:そういう、「文化人」枠のロールモデルですよね。たしかに、あったかもしれませんね。まあ、僕の場合は、事務所の思うようには動かないので、すぐに関係は破綻しそうですが……。

ひろゆきブーム徹底解剖「何もせずにチャリンチャリン稼げる仕組みづくり」

ひろゆき氏:あと、個人の時代に関連して、これからうまく生き抜いていくためには、あまり時事ネタを語らないのもポイントかもしれません。

――どういうことでしょうか?

ひろゆき氏:ある時期から、報道番組や情報番組のコメンテーターにお笑い芸人さんが必要になりましたよね?

 あれって、間違ったことを言ったとしても、「どうせ芸人だし」という目線があれば叩かれないことにテレビ局が気づいたからです。あるいは、情報バラエティの番組に、読モ系のインフルエンサーの人が出たりしますけど、あれも、政治とか時事ネタのことは「たぶんわからないと思うけど、どう思う?」と丁寧に振ってあげて、本当に当たり障りのない感想だけを引き出しています。

 それだけ、時事ネタを個人が扱うには、慎重にならざるを得ない時代なんですよね。だから、HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんは、そういうネタは語らないじゃないですか。

 その姿勢が求められると思うんですよね。一部、Twitter上で政治のことや時事ネタをバンバン語る人もいますけど、どうしてもその後はヘンな色が付いてしまってブレイクしにくくなってしまいます。だったら、今はあえて積極的に言わなくてもよくて、「求められたときだけ返す」というスタンスが正しいんだと思いますね。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。