就活の可能性が格段に広がる
「縦のつながり」を意識すること
実はなかなか思い浮かべにくいのですが、横のつながりに対して縦のつながりを意識することで、ぐっと対象企業が広がります。たとえば、出版社なら本にかかわる仕事をしている編集プロダクション、デザイン事務所、印刷会社、製紙業者などが縦のつながりです。スポーツ用品なら、大手スポーツブランドだけを見ていてはいけません。スポーツに関わっている企業は、得点板をつくっているところ、ゼッケンをつくっているところなど無数にあります。
サプライチェーンの川上に遡ることで、食品メーカーなら材料系の企業などが見えてきます。縦のつながりで上にあるのは、その企業がお金を支払う先です。つまり仕入れ先のメーカーということになります。完成品を作っている企業なら、仕入先の材料系の企業、出版社なら、デザイン、印刷、編集プロダクションです。
縦のつながりの下にあるのは、その企業の製品やサービスの売り先です。販売代理店、専門商社などが挙げられます。出版社なら書店、取次です。自分の行きたい大手企業に入ったとして、その企業とビジネスで関わりのある会社はどこなのかを調べれば、縦のつながりはわかります。
親は「宝くじ企業」の定員が少ないことを知っているでしょう。ただし、子がそのような企業を目指していると言ったとしても、決して「受かるわけがない」と怒ってはいけません。大学生ではっきり行きたい業界があるという人はもともと少なく、まずは行きたい業界が決まっていることが重要なので、それをほめるべきです。行きたい業界があれば、何もない状態より、そこから見て受けたい企業の対象を広げやすくなるし、「行きたい業界があるのはとてもよいことだと親はわかっている」ということを伝えてください。
またもう一点、無理もないことですが、多くの大学生は仕事や企業の実態よりも、企業が手がける商材、製品、サービスなどの完成品や、仕事のアウトプットに憧れる傾向が強いです。今世の中に出ている商品やサービスは、その企業が生み出したものの最終形態です。実際には、それが世に出る前に膨大な工程があり、そのさまざまな工程に関わる人や企業の存在があるのです。失敗作や、潰えたプロジェクト、など無数の「屍」があり、もちろん売れなかった場合には、担当者が厳しく責任を問われることもあります。