店舗スタッフと顧客がオンライン上で物件に関する情報を共有する店舗スタッフと顧客がオンライン上で物件に関する情報を共有する(画像提供:Apaman Network)

 さらに同社では、物件の賃貸契約を交わす前に宅建士が借り主に建造物の情報や取引の条件を伝える「重要事項説明」にもオンラインを活用している。

「契約に必要な書類の事前送付や、鍵の引き渡しも郵送で行えるので、一度も来店せずに手続きできます。実際にオンライン接客を受けられた多くのお客さまから『お店に行かなくていいので便利』という声や、内覧についても『しっかりお部屋をイメージできた』など、好意的なご意見をいただいています」

6年前から始めたオンライン接客
コロナ禍で需要急増

 非対面のまま物件の紹介、内覧、契約を行える「アパマンオンライン」のサービスがスタートしたのは、コロナが流行するよりも前の2015年だったという。

「以前から、遠方より転居されるお客さまから『何度も店舗や物件を訪れるのは難しい』という声をいただいていました。そこで、お客さまの利便性の向上を図るために、ITを活用したオンライン接客を導入したのがきっかけです。業界内でもいち早くオンラインに取り組んでおり、一定の支持を得ていました」

 テレビCMの効果などもあって2020年4月以降オンライン接客の利用者が急増したものの、一方で「苦労した点もある」と大滝氏。

「全国約1000店舗に勤務する全スタッフが、オンライン上でも個人の経験や知識量に左右されず、お客さまに均質なサービスを提供する必要がありました。実際、店舗ごとはもちろん、スタッフ間でもオンライン接客の技術に差があります。そこで、全体勉強会・企業別勉強会を開催しつつ、本部のスタッフと各店舗スタッフで、オンライン接客などのデモンストレーションを何度も実施しました」

 安定したサービスを提供するため、一店舗ずつ地道にフォローしていったという。

「お客さまにとって“引っ越し”はライフステージの節目で発生する重要なものです。なので、オンラインで十分なサービスが受けられるのか、納得いくお部屋探しができるのかなど、不安もあると思います。そうした不安を払拭しながら、サービスの認知度を上げていくのが直近の課題です」

 オンラインが部屋探しの選択肢のひとつになる日も近い?