オンライン面談による結婚相談で
成婚率が大幅に上昇

 男女の結婚を仲介する結婚相談所でも、オンラインで相談者の結婚をサポートするシステムも登場している。オンライン結婚相談所は、店舗型に比べてコストがかからない分、会費を安く抑えられるのが特徴だが、担当者によるサポートはチャットが中心になっているケースが多いという。

 そんななか、2020年6月からビデオ面談によるサポートをスタートさせたのが、オンライン結婚相談所「naco-do」だ。

「naco-doでは、Zoomを利用した専属サポーターによる会員面談を隔月で行っています。ほかのオンライン結婚相談所も、チャットや電話などで担当者とやりとりをするケースもありますが、2021年8月現在、顔を見ながら面談しているのは、当社のみ。オンライン面談をスタートする前はnaco-do会員の成婚率は4~8%でしたが、面談をスタートして1年がたち、現在は40%前後までアップしました」

 そう話すのは、naco-doを運営する株式会社いろもの代表取締役CEO・山田陵氏。2019年にサービスをリリースした当初は、オンラインの面談は行っていなかったという。

 結婚よりもライトな男女の出会いを目的としているマッチングアプリなどの場合は成婚率が2~3%ほどだが、より婚活に特化したnaco-doの成婚率は4~8%だった。

 アプリに比べれば少しだけ成婚率が高いが、オンライン結婚相談所に登録する時点で、マッチングアプリよりも「結婚に前向きな層」が登録しているため、サポートの有無よりも本人同士の意志で結婚に至っていたケースが多いという。そのため、サポーターがいる結婚相談所としてはあまり機能していなかった、と山田氏は振り返る。

「初めは当社でもチャットを中心にサポートを行っていました。一人ひとりに担当者がついて、相談があればチャットで質問を送るように案内していたのですが、ほとんど使われなかったんです。どうやら、ユーザーは『そもそも何を相談すればいいのかわからない』という状態だったため、質問できなかったようです。また、チャットではサポーターから写真の変更や自己紹介文章の修正などを提案していたのですが、聞き入れてもらえないケースも多くありましたね」

 チャットのみではサポーターとユーザーのコミュニケーションが不足し“信頼関係”が築きにくいという課題があった。アドバイスも伝わらず、成婚率も上がらない状況に陥っていたという。

「社内でサポート方法を見直した結果、関係性の構築には顔を見て会話をする必要があると感じて“ビデオ面談”を採用しました。2020年の3月以降、新型コロナの感染拡大とともにウェブ会議ツールの『Zoom』が普及し始めたので、naco-doの面談でも使用を開始。会員さまのなかにも、Zoomを仕事で使っている人が増えたので、ツールを使う際のハードルも下がっています。ウェブ会議ツールの普及は、当社の面談に大きく影響していますね」

 初回の面談を行うと、会員から「サポーターの人が実在していて安心した」というコメントを受けることが多い、と山田氏。顔が見えないチャットでは、カスタマサポートを受けているような感覚が強くなってしまうという。