ニューノーマルの時代にはこれまでの勝ちパターンは通用しない。変革期に必要な新しい思考回路が求められている。それがアーキテクト思考だ。アーキテクト思考とは「新しい世界をゼロベースで構想できる力」のこと。『具体⇔抽象トレーニング』著者の細谷功氏と、経営共創基盤(IGPI)共同経営者の坂田幸樹氏の2人が書き下ろした『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考 具体と抽象を行き来する問題発見・解決の新技法』が、9月29日にダイヤモンド社から発売された。混迷の時代を生きるために必要な新しいビジネスの思考力とは何か。それをどう磨き、どう身に付けたらいいのか。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けする。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。

東南アジアに特有な現象に注目! 日本企業の強みを生かして21世紀に世界を席巻する方法Photo: Adobe Stock

東南アジアは構造レベルで日本と異なる

 前回は、新興国におけるリープフロッグ現象と全体構想の重要性について解説しました。今回は日本企業の強みを東南アジアで生かす方法について考えてみましょう。

 近年における東南アジアの特徴の一つが急速な都市化の進行です。都市化とは、都市に人口が集まることで経済発展が促進されることをいいます。

 都市化に伴い東南アジアでは、中間所得層(年間世帯所得5000ドル超~3万5000ドル以下)が急増しました。その結果、中間層向けのサービスが不足し、多くの事業機会が生まれています。

 国全体の一人当たりGDPなど、表面的な平均値のデータにとらわれていては、構造的な変化を見失うことになります。

 図を見てわかる通り、国全体と比較して首都の人口密度と一人当たりGDPが非常に高くなっていることがわかります。その開きが特に大きいインドネシアでは、実に4.6倍もの差がついています(下図)。

 結果、日本のように国全体の経済が平均的に成長した国とは、経済の成り立ちや社会課題が構造レベルで異なります。日本でも都市化は進んでいますが、二極化が顕著な東南アジアで起きている都市化は、桁違いです。