日本企業の強みを生かした戦い方で、十分勝負できる
このような市場において、日本はどのように戦えるでしょうか。
地上戦での地道な改善活動は元来、日本企業が得意としている領域です。
人材教育や細かいプロセス改善によって品質のバラつきをなくすのは、20世紀に製造業で日本企業が世界を席巻した戦い方です。
今回解説した新興国における中間層向けサービスのバラつき改善の機会は、多くの産業で見受けられます。
日本のように正確な日時に宅配便が安全に届く保証はなく、エアコンの修理を頼んでも中途半端な修理により事態が悪化することさえあります。地方都市に行くと十分な医療を受けられないことが多く、食品の安全性も社会問題化しています。
これらは地上戦での改善活動とデジタル技術による空中戦の融合により、劇的な改善が見込める領域です。
置かれた状況に合わせて場を定義し、抽象化によりCSF(重要成功要因)を抽出してから構想を具体化することで、日本企業の強みを生かしたイノベーションが起こせることを願ってやみません。
次回以降も、読者からの質問に答える形でアーキテクト思考について事例を交えながら解説できればと思います。こちらから質問をいただければと思います。
ビジネスコンサルタント・著述家
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)等。
坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者・
キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ、