東南アジアでは、中間層向けサービスに品質のバラつきがある
東南アジアでは都市化が進行した結果、今経済の中心となっているのは中間層です。下図からも、この20年間で先進国であるシンガポール以外の国々で、中間層が急増したことがわかります。
その結果、中間層向けサービスの需要が一気に高まりました。
例えば、これまで昼食にストリートフードを食べていたビジネスマンが外食チェーンで食事をするようになったり、海外旅行に行ったりするようになりました。
しかしサービスの供給が追い付かず、中間層向けサービスの品質のバラつきが社会問題化しています。下の図は、東南アジアでの価格と品質のバラつきをグラフ化したものです。
例えば、マニラのシャングリ・ラ ホテルで受けられるサービスと東京のシャングリ・ラ ホテルのそれとでは、大きな差はありません。
一方で、マニラの3つ星ホテルに泊まった際には部屋の清掃が終わっていなかったり、アメニティが置いていなかったりする場合もあれば、とても美味しい朝食がついてくることもあります。日本のアパホテルではこのようなサービスのバラつきはあまり見受けられません。
従業員のリテラシーの不足や基礎インフラの未整備などが原因として挙げられますが、便利なスマホアプリを一つ作ったら解決するような課題ではありません。
前回のゴジェックの事例でも説明しましたが、新興国での問題解決はデジタル技術などの空中戦のみに依存するのではなく、地道な地上戦での問題解決(人材教育や商品・サービスの品質の底上げ)が重要になることが多々あります。