大規模修繕に対する数々の疑問

 私は以前から大規模修繕って不思議だなと思っていた。なぜなら、大規模修繕は多額の費用がかかるが、これをやったからといって資産価値が上がることはないからだ。そもそも大規模修繕は共用部の修繕であって、売買される専有部の資産価値には反映されない。それなのに、なぜ集合住宅だけそれをやれと言うのだろう。

 そもそも何のために大規模修繕をやっているかというと、共用部の劣化防止ということになる。防水や防さびなどはやっておかないと快適な生活が脅かされる可能性がある。

 過去の最高裁での判決では、「外壁が剥落して通行人の上に落下」して通行人等が死傷した場合、落下した建物の所有者等が全面的に賠償責任を負うという判決が下った。つまり、建物の外壁落下は所有者の責任で絶対に防ぐことが社会の要請となっている。

 こうした事例を持ち出して、リスクを必要以上に声高に言い、多額の支払いを決断させようとする修繕請負業者も存在する。しかし、あくまでも必要性に応じて、適切に管理することが重要なので、「適切」をどのように見いだすかが最大のポイントとなる。