「怒りの翻訳」で冷静な判断力を取り戻す

──最近では「上司ガチャ」という言葉もよく耳にします。「上司ガチャ」でものすごい外れを引いちゃった、みたいな。

本田:ああ、なるほど。最近はそういう言い方をするんですね。

──極端に自分と合わない上司に当たってしまって、毎日怒られすぎてつらい……という状況が続いていた場合、どのように気持ちを切り替えたらいいでしょうか。

本田:上司の怒りを翻訳することですね。

──翻訳する?

本田:つまり、「相手が怒っている内容」と「伝え方」を分解して考えるわけです。怒っている相手に恐怖心を感じてしまうのは、相手の強い剣幕や感情的な言い方、人格否定するようなひどい言葉遣い、皮肉など、伝え方が原因である場合が多いんですよね。なので、そのような感情的な部分をいったん取り除いて、翻訳してみる。翻訳した結果、相手が怒っている内容に納得できるのであれば、そこを次回から改められるように行動する。

「我慢すべきかどうか」を判断する3つのポイント

──「できない自分が悪いんじゃないか」と自分を責めてしまう人もいるだろうと思います。つらい仕事は、どこまで耐えれば良いでしょうか? 何かおすすめの判断基準などがあれば教えてください。

本田:「怒りの翻訳」をしたうえで、怒られている理由をパターン化して考えてみるといいと思います。

 仕事を一生懸命やっても結果が出ず、いつも怒られてつらいという場合、以下の3つのパターンが考えられます。

① 自分に改善の余地がある
② 上司が厳しすぎてつらい
③ 会社の要求水準が高すぎる

 このうち、①のパターンであれば、もう少し頑張ってみてもよいでしょう。自分自身がしなくていいことに時間とエネルギーを使いすぎている可能性が高いので、自分の仕事内容を見直してみるといいですね。

 ただ、問題は、②と③の場合です。上司や社風との相性もありますし、「怒られるのが当たり前」という社風では、怒られる理由を考えても意味がありません。

 どのパターンであったとしても、「自分が悪い」と決めつけて仕事を続けていると「仕事は厳しいもの」「どこで働いても苦しいのは同じ」と思うようになり、結果的に「自分は社会に適応できない」と思い込んでしまう可能性も考えられます。

 キーポイントは、「自分が納得できるかどうか」。理不尽な目にあってもそれに見合う報酬が得られるなど、我慢できる範囲であれば同じ環境で続けてみてもいいと思いますが、あれもこれもやらなくちゃと義務感に縛られ続けていると、ますます「本当にやりたいこと」が見えなくなってしまいます。

 まずは、この3つのポイントに沿って、自分の心が納得する答えを探してみてください。

「上司ガチャ」で外れを引いたらいつまで耐えるべき? 見極めるための3つの質問