お客さまに違和感を持たせないために、
言葉のキャッチボールをする

お客さまは接客に感動を求めているのか?! 本当に求められているたった2つのことPhoto: Adobe Stock

 ある日、ホテルのラウンジを利用したときのことです。

 メニューにジンジャーエールがありました。「辛口のジンジャーエールならばこれを注文しよう」と思った私は、スタッフの女性に「これは辛口のジンジャーエールですか?」と質問しました。すると彼女は無言で歩き出し、スーッと厨房に消えていきました。しばらくすると戻ってきて「辛口です」と一言……。

 質問を受けたならば、とにもかくにもまずは「返事」や「ただいま確認してまいります」と言葉で答える必要があります。無言で次の動作に入ることでお客さまには「ちゃんと聞こえたの?」「なんで無言なの??」というモヤッとした感情が芽生えます。

 彼女の頭の中では「辛口だったかな?どうだっけ?確認してこよう」という流れがあるのでしょうが、質問をしたお客さまにスタッフの頭の中は見えません。お客さまにそのような違和感を持たせないためにも、言葉のキャッチボールをするのが基本です(ましてやホテルのラウンジでしたので、さらにモヤッとしたことを覚えています)。

 このようなことは、たとえばアパレルショップなどで「この色のトレーナーでワンサイズ大きいものはありますか?」と質問をされた時も同じです。いきなり無言で棚を探し始めたりインカムで会話を始めたりするのではなく、「はい、こちらの棚にございます」「今、在庫を確認いたしますね」など何かしらの反応をしましょう。

 きちんとした返事ができる接客スタッフは、やり取りをしていてとても感じがいいものです。「モヤモヤさせない」「イライラさせない」これだけで十分に感じのよい接客スタッフになることができます

 たった一言、されど「印象には大きく影響する一言」です。

 まずは、このようなシンプルなことの徹底から始めてみてください。

七條千恵美(しちじょうちえみ)
株式会社GLITTER STAGE 代表取締役
1973年京都府出身。同志社大学卒業後、日本航空に入社。
お客さまから多くの賞賛をいただき、さらに際立った影響力を持つ客室乗務員として
「Dream Skyward優秀賞」を受賞。取締役から表彰を受ける。
また、TOP VIPフライトの中でも最上級ハンドリングのフライトであった皇室チャーターフライトのメンバーに抜擢された経験を持つ。経営破綻後の2010年より2年間、客室教育訓練室のサービス教官として約1000人以上の訓練生を指導し、多くの優秀なCAを輩出。教官としての会社評価は、評価最上位に該当するS評価を受けるなど教官としても数々の実績を残す。サービスマインドの強化と身だしなみの授業は評価が高く「気づきの女王」「身だしなみ隊長」と呼ばれる。現在は、株式会社GLITTER STAGEの代表取締役として接客マナー研修や社員教育などで全国を飛び回る。「強い牽引力とわかりやすさ」には定評がある。 主な著書に、『接客の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『これだけできれば大丈夫! すぐ使える! 接客1年生』(ダイヤモンド社)がある。