野党共闘は成果あり
問題は立憲民主の「党としての魅力」

 今回の総選挙で、立憲民主党は共産党も含む野党との共闘、具体的には候補者の調整に踏み込んだ。かつて小選挙区の選挙でよくあった「共産党の候補者がいなければ野党の候補者が勝てたのではないか」という状況を減らし、多くの小選挙区で実質的に「与野党一騎打ち」の構図を作った。

 この構造は自民党から「選挙目当ての野合だ」と批判されたが、自民党と公明党の間にも同様の構造があり、この批判自体は大きなマイナスにならなかったと考えられる。事実、立憲民主党は小選挙区にあっては9議席増やして57議席を獲得している。

 問題は、比例代表区の結果で23議席も減らして39議席の獲得にとどまったことだ。これは、有権者にとって小選挙区では与野党対決の構図や個々の候補者の個性などを考える余地があった一方で、政党を選ぶ比例代表区の投票にあっては立憲民主党が魅力的に映らなかったことを意味する。この点の問題が深刻で、与党批判票の受け皿となることにさえ十分成功しなかった。

 立憲民主党を含む野党勢力が、将来与党に対して十分な緊張感を要する批判勢力として機能するためには、今後も小選挙区での野党共闘は必要であり、この点の解釈を誤ってはならない。平時から共闘する野党間の政策のすり合わせは必要であるし、個々の小選挙区ごとの活動にあっても次の選挙の候補者を早くから調整して、地道な選挙準備活動を積み重ねるべきだろう。

 繰り返すが、問題は、有権者から見て立憲民主党が「党として魅力がない」ことだったのだ。

立憲民主党の「中身」に当たる
政策に大問題

 有権者にとって立憲民主党が魅力的に映らなかったことの理由はマーケティング的に考えると分かりやすい。投票行動は商品の購買によく似ており、商品が消費者にとって魅力的でないと買われないのと同じように、選挙における政党や候補者は党が魅力的でなければ投票の対象にならない。

 商品の魅力は、比喩的に言うと、商品の「中身」と「商品の包み紙」の二つに分けて考えると分かりやすい。後者は、本で言うと「表紙」に相当する。この場合、商品の「中身」は政策であり、「表紙」は党の顔として露出する政治家の個性と言動を中心とする情報発信だ。

 立憲民主党が今回の衆議院選挙で掲げた政策は、特に経済政策の点で良くなかった。率直に言って、立憲民主党に日本の経済を任せるのはあまりにも心配だと思う内容だった。