10月31日に投開票された衆議院選挙では、単独過半数の確保ができない可能性があるとの事前予想に反し、自由民主党(自民)が絶対安定多数の261議席を獲得した。これを受けて、翌11月1日の東京株式市場では、日経平均株価が754円高となった。株式市場は政治の安定を好むことを、改めて認識されられる動きだ。
今回の衆院選では、立憲民主党(立民)が中心となって野党共闘を図ったが、政権交代の目論見は失敗に終わった。野党の敗因は政治評論家諸氏の解説に委ねたいが、市場参加者の視点からは、「野党=政治の不安定化」という構図を払拭できないことが最大の敗因に映る。
筆者は、日本において健全な政策論争を促進するためにも、政権交代がスムーズに起こり得る環境が必要と考える。しかし今回の衆院選で見えてきたのは、米国型の二大政党制を模して対決姿勢を煽っても、日本では信認を得られないことではないだろうか。以下では、連立協議が進行中のドイツを参考に、市場に優しい政権交代の姿を考察する。