これらはなにも、風紀委員的な視点やしつけの意味合いから言っているのではありません。もちろん、その後の社会人生活にスムーズに移行できるようにするということもありますが、社会人型の生活リズムに慣れていると、就活で出会う企業の採用担当の人たちも同じリズムで働いているので、何となくその人たちと波長が合ってきて結果的に就活に有利になるから、という理由が大きいのです。

「9時から17時まで、週休2日」は、多くの大学生にとってはあまり一般的な生活リズムではないでしょう。ですから、今までの生活の延長のまま就活に臨むと、「生活の乱れ」がZOOM面接などでつい画面で露呈してしまうのです。具体的には挨拶ができない、寝癖がついたまま、シャツがよれよれ、眠そう、顔色が冴えない、などといったことが挙げられます。

子どもとして見るのではなく
ビジネスの相手として見る

 親は保護者の立場ではなく、仕事をするときの目線で子を見たらどうでしょうか。取引先の人が寝癖をつけてあくびをしながら商談に来たら、ビジネスをしようとは思わないでしょう。専業主婦・主夫の人も、サービス業の人や銀行・保険の営業の人が消費者の自分に対して挨拶もできないようなら、「お客として話を聞きたい」「契約したい」とは思わないでしょう。

 子を見たときに、子ではなくビジネスの相手として「この人とビジネスができるか」を考え、もしできないようなら生活を改めてもらいましょう。

 働くということは、自分1人だけではなく、取引先や会社の別の部門の人と協業したり、顧客に対応したりするために、他人と一緒のリズムの中で生活する必要が出て来るものです。

 仕事というのは、組織や様々な人々との関わり合いの中で、時間を共有しながら進めるものです。その意味でも、その土台となる規則正しい生活を就活と同時に始めることは、理にかなっているのです。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)