最近では女優の深田恭子さんが、そして17年ほど前には皇后雅子さまが発症した病気として知られている「適応障害」。実は、適応障害は誰もがかかる可能性のある最も身近な心の病のひとつで、学校や職場、家庭などでいつ発症するかわかりません。そこで前回に続き今回は、精神科医・岩波 明さんの新刊『その「うつ」っぽさ 適応障害かもしれません』(青春出版社)から、適応障害になるきっかけや改善方法について抜粋紹介します。
ポジティブな出来事も適応障害のきっかけに
適応障害の治療において一番大切なのは、原因となったストレスと距離を置くか、ストレスを取り除くかしてしっかり休むことです。
幸いにして、多くの場合は患者本人がストレス要因を自覚しています。「何が原因かわからない」「どうしたらストレスを取り除けるのか、見当もつかない」ケースは、ほとんどないと思います。
ただし、覚えておきたいのは、いかにもストレスにつながりそうなつらい出来事ばかりが問題ではない、ということです。「昇進して部下を持った」「結婚して子どもが生まれた」「定年退職した」など、一般的には「おめでたい」とされている出来事も、その人の受け取り方しだいで大きなストレスになります。