英語でのプレゼンのコツは
「自分の心地良さ」を確保すること

1.始める前にまずは「深呼吸」を!

「呼吸」は本当に大切です。英語の通訳やコーチとして、クライアントさんたちが重要な場面へ臨む姿を間近で見てきて実感したのが、「人は緊張すると呼吸が浅くなる」ということです。

 呼吸が浅くなると十分に酸素を吸い込めないので、声が悪くなります。おなかから声を出せないため、説得力のない声になってしまうのです。

 プレゼンに臨む際には、静かに深呼吸しましょう。ポイントは「呼+吸」です。まずは、ひたすら息を吐き続けます。吐く息に意識を集中して、「これ以上は吐けない」というところまで息を吐き切ったら、力を抜きます。力を抜けば、吸おうとせずとも自然と肺に酸素が入ります。

 これを何度か繰り返すことで無駄な力が抜けて、呼吸が深くなり、「良い声」が出るようになります。人によってはこのように酸素を取り込むことで、リラックスしたり気持ちが明るくなることもあるようです。

2.冒頭にお礼と自己紹介を忘れずに!

 プレゼンの冒頭では、「お礼」と「自己紹介」を忘れないようにしましょう。そんなの当たり前だろう……と思うかもしれませんが、意外と忘れてしまう人が多いのです。プレゼンの多くはスライドを用意しているため、スライドの操作に気をとられてあいさつを忘れてしまい、いきなり本題に入る人を時々見かけます。話を聞く側からすると、あまりにも唐突で、当然、印象がよくありません。

 冒頭でお礼と自己紹介を述べるのは、実はもう一つ大切な効果があります。それは、緊張を和らげることです。プレゼンで一番緊張する「最初の一言」を、お礼と自己紹介で乗り越えてしまえば、その後が一気に楽になります。

Thank you for your time today.」(今日はお時間をいただきありがとうございます)とお礼を述べ、「My name is ○○. I work for XX.」(○○と申します。XXで働いています)といった簡単な英語で十分です。ごく短いあいさつですが、まずはあいさつをすることで声を発して、自分の緊張をほぐすような感覚を持つことができればバッチリです。

 その際に余裕があれば、自分の話すスピードを確認しましょう。人は緊張すると早口になります。プレゼンで話す内容は、聞く人にとっては初めて触れる情報です。初めて触れる情報をそしゃくして理解する時間を相手に与えるためにも、早口にならないよう気を付けましょう。普段からあいさつをする際に自分が話すスピードを意識し、「ゆっくり話す」と自分に言い聞かせることを習慣にしておくと良いかもしれません。

3.無理にジョークを入れる必要はない!

「英語はユーモアのセンスが求められそうなので、冒頭でジョークを言ったほうがいいですか?」と、時々ご質問を頂戴しますが、私はあまりお勧めしません。

 確かに英語のコミュニケーションでは、真剣な話をしている中で誰かが突然、ジョークを言ってその場を和ませたりすることもあります。とてもスマートで、場を和ませる気づかいができるセンスに、見ていて感動することが何度もありました。

 ただしこれは相当、英語のコミュニケーションレベルが高い話です。特に、英語に苦手意識があったり、英語での会話に緊張してしまったりするような状態でジョークを言うのは、かなり難解と言わざるを得ません。

 何より、ジョークがすべったときのダメージはあまりに大きく、そこから立ち直るための労力を考えると、よほど自信がある人でない限りはジョークを入れ込むことはお勧めしません。

 これはジョークだけでなく、すべてのことに通じると思いますが、ネイティブスピーカーのまねをするのではなく、「自分らしく」あることが一番良いのです。