――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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中国は英グラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、一段と野心的な目標の発表を見送り、閉幕に当たり公表された成果文書の文言を土壇場で薄めるようインドとともに働きかけたことで、大きな批判を浴びた。
急転直下で10日公表された気候変動対策に関する米中共同宣言は、踏み込んだ詳細な目標を欠くものの、一定の明るい兆しではある。しかしながら、環境政策を巡る中国のジレンマは依然として非常に根が深く、安全保障上の最大の弱みの一部とも切り離せない側面がある。
米中関係が著しく改善しない限り、この事実は一段と迅速な行動を望む向きを今後もいらだたせるだろう。環境活動家にとっての「黒い獣(特に問題視するもの)」である中国の石炭大量消費に関してはなおさらそうだ。
中国にとって、気候変動対策の強化が特に難しい理由は主に2つある。1つ目は、重工業を中心に世界の工場として、中国経済はスタート地点から、米国や日本、欧州連合(EU)と比べてそもそも炭素集約型の傾向が強い。2つ目は、中国は米国とは異なり、石炭からの迅速な切り替えを可能にする、強固な天然ガス産業を国内に持たない。そのため「スイッチのオンオフ」が簡単にでき、断続的な太陽光・風力発電ともうまく合致する一段とクリーンな代替エネルギーを供給することができない。
石炭の使用を早期に段階的廃止に持ち込むには、天然ガスの大幅な輸入拡大がおそらくほぼ不可避だろう。中国が再生可能エネや原発に巨額の投資を今後も続けると仮定してもだ。さらに言えば、天然ガスの多くは中央アジアなど情勢が不安定な近隣諸国を通るパイプラインか、海上輸送経由で運ばれる必要がある。折しも、地政学上の最大のライバルで、圧倒的な海洋覇権を握る米国と中国の関係が急速に冷え込んでいるさなかだ。