世界の排出枠取引に道、COP26合意Photo:Peter Summers/gettyimages

 英グラスゴーで13日まで開催された国連の第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、長らく暗礁に乗り上げていた国や企業の国際的な二酸化炭素(CO2)排出枠取引のルール策定で各国が合意に達し、世界の排出枠取引市場への追い風が強まった。

 排出量の削減や気候変動対策の資金調達を巡る一段と注目度の高い合意が目立ち、排出枠取引ルールの合意へ向けた交渉は影が薄くなっていた。より包括的な合意によって、190以上の加盟国は来年、排出削減計画を見直すことが求められる。一方、科学者らは削減計画について、気候変動の最悪の影響を防ぐには不十分と指摘している。各国政府が合意内容をどう実施するかに関しても大きな疑問が残る。

 炭素取引に関する合意は、対象範囲こそ狭いものの、COP26の最も具体的な成果の一つだ。世界のほぼ全ての国の政府が、世界的な取引制度において政府や企業が排出量を削減するためのクレジットをどのように創出し、評価・交換するかについて、一連の暫定ルールを承認した。

 賛同者は包括的なグラスゴー協定について、温室効果ガスの主な発生源である化石燃料からの脱却へ向け、各国政府が新たな決意を固めたことを示すものだと述べている。ただ、この協定には、過去数十年にわたって国連の気候変動交渉を阻んできた弱点がある。

 協定に強制力を発揮する仕組みはなく、各国政府ができるだけルールを守るという誠意に依存している。主要な分野において、各国に行動を義務付けるのではなく、強く促したり要請したりするだけで、各国政府のコンセンサスを得るために緩やかな取り決めとする必要があったことが反映されている。