10年で5倍に成長した
植物性代替食品市場

 農業分野のIoT企業である英Proagrica社の調査では、イギリス人の18%がコロナ禍でベジタリアン(ビーガンを含む)の食事を初めて食べたという。コロナ禍により健康意識が高まり、肉食から菜食へという大きな流れができているのだ。またアンケートでは39%の人が、今後飲食店でプラントベース(植物由来)の食事をすると答えている。

 コロナに対する重篤化率は菜食中心の方が低いという研究“Plant-based and/or fish diets may help lessen severity of COVID-19 infection”(BMJ Nutrition Prevention & Health.June 07, 2021)もある。6カ国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、米国)で食生活の関連を調査したところ、菜食や野菜と魚中心の食事をしている人はコロナが有意に重篤化しにくいことが判明した。

 日本がなぜコロナを封じ込められたのか、欧米からはミステリー扱いされているが、魚と大豆を中心にタンパク質をとる日本人の食生活が、抗コロナに有効なのかもしれない。

 2019年の植物性代替食品(大豆ミートに限らず、より広くヴィーガン向け食品を捉え、豆乳やアーモンドミルクなども含まれる)の国内市場規模は、2019年度の178億円から2020年度(予想)は246億円と4割も増加。2010年度はわずか48億円市場だったので、10年で5倍に急拡大している(TPCマーケティングリサーチ調べ)。

 業界専門紙の日本食糧新聞では、健康志向から購入する30~40代女性を中心に、ダイエットや健康意識の高まりにより肉食から植物性タンパク質への切り換えが中高年に拡大していくとみている。

ビーガン料理は
おいしいのか

 成長著しいビーガン市場だが、気になるのは味だ。野菜料理のバリエーションが増える一方で、ハンバーガーのパテが大豆ミートに切り替わるように、植物性食品で代用していく料理も増えている。そうした代用食の料理は本当においしいのだろうか?

 たとえばラーメン。アメリカの国民食がハンバーガーなら、日本の国民食はラーメンだ。ラーメンのスープは鶏や豚、煮干しなど動物性のダシがベースとなる。野菜だけのラーメンは豚骨や煮干しラーメンと比べ、どのくらいのクオリティーなのか。