忘年会の絶滅が
政治問題に「直結」するワケ

 さらに「祭り」は「祭り事=政(まつりごと)」につながるとおり、忘年会にはもう一つ別の側面が存在します。それは忘年会が日本経済を回すという側面です。

 昭和の末期に成熟社会へと突入した日本は、経済のマイナス成長リスクにさらされてきました。経済をけん引する新規の需要が生まれるためには、若者人口が増加する状況が必要なのですが、平成以降の日本ではそのような人口構成が期待できない。そこで内需を支えるためには飲食や観光といった分野での産業振興が重要になるという構造転換が起きていました。

「政」にとっては、経済が順調に回ることがとても重要です。実際、過去、日本の政権交代は経済が悪化した時期に起きています。与党政治家にとっては、経済が成長することは何より重要な選挙対策になるのです。

 コロナ禍においては一時的に経済よりも国民の命の方が大切ということで、飲食店経済に対する強い規制が行われました。しかし、ワクチン接種が進んだうえに海外で開発されたコロナ治療薬の発売も見えてきた現在、ふたたび飲食店需要は国にとって復興優先順位が高いアジェンダに戻り始めています。

 そして、アフターコロナで構造的に飲食店需要が元に戻らない可能性があるとしたら、忘年会の衰退問題は政治問題へと姿を変えることになります。

 その解決の有力な政策が昨年の「Go Toイート」だったのですが、これはコロナ対策という大義のもとで許された政策であり、長期的な忘年会衰退には使えません。では、政府は忘年会衰退の危機をどのように乗り越えるべきなのでしょうか?

 私は、交際費復活がその秘策だと考えています。