このままでは
東芝はいつか完全に消えてしまう
東芝の経営陣が、日本では異例ともいうべき会社の三分割の方針を発表しました。一つ目が発電所や交通インフラ、エレベーターなどのインフラサービス会社。二つ目が半導体やHDD、それらの製造装置を担当するデバイス会社。そして、ファンドに売却したキオクシアなど保有株式を管理する東芝の3社です。
東芝のように幅広い事業を展開する大企業を、「コングロマリット」と呼びます。1980年代から、このようなコングロマリットは戦略的に不利だという説が唱えられ、欧米では電子機器メーカー大手のHP(ヒューレット・パッカード)や化学大手のダウ・デュポンなど企業分割を戦略的に断行するコングロマリットが出ています。
東芝では、社外取締役5人による戦略委員会が主導して3分割計画案を策定し、11月12日に経営陣によって正式に採択されたというのが、ここまでの経緯です。
この記事で、東芝分割について解説したい結論は二つです。
(1)三分割戦略は、少なくとも東芝に関しては「時代遅れ」だ
(2)しかし過去の経緯を考えると、東芝が分割によって消えていくことは仕方ない
綱川智社長が「未来に向けた進化」だと語る三分割ですが、歴代経営者が失敗してファンドによって分割されることになったというのが実情でしょう。そしてファンドが考える「三分割したほうが全体の株価は上がる」という戦略論は、実は東芝の場合は時代遅れです。