「アルパカ」に学ぶ
名前と視覚の妙

 また、ラベルのデザインも重要だと森田氏は指摘する。たとえば、今日本で最も売れているチリワインの「アルパカ」。チリを代表する動物であるアルパカのイラストと、シンプルなロゴが特徴だ。

「アルパカの成功の要因は、名前と視覚です。動物がついたラベルはキャッチーで覚えやすい。だからリピートしやすいんです。アルパカの成功を受けて、動物ラベルのワインが一気に増えました。

 名前も4文字で覚えやすいですよね。『キムタク』とか『ドンペリ』とか、日本人ってなんでも4文字に略したがるし、そもそもフランス語やイタリア語のラベルと違い、誰にでも一目でブランド名が分かり、名前とラベルが一致する。チリワインでは根強い人気を誇る『コノスル』も同じく、味わいはもちろんですが、覚えやすい名前と自転車ラベルという要素もロングセラーの要因ではないでしょうか」

 消費者に知識や情報を伝えるメディアとして、またコミュニケーションのツールとしてのラベルのあり方。日本酒がワインから学べるところは大きそうだ。

エシカル消費に向けた
取り組みや発信も必要

「最後にもう一つ、世界的な潮流として、『サステイナブル』や『エシカル』といった視点は欠かせません。ボルドー、シャンパーニュなど世界のワイン生産地はもちろん、ウイスキーでは「ジョニー・ウォーカー」、ビールでは「バドワイザー」といったグローバルブランドも、サステイナブルな世界実現に向けたさまざまな施策計画を発表しています。

『エシカル消費』という言葉もあるように、消費者にとって『サステイナブル』といった要素は選択の基準になります。日本酒の蔵元さんも環境や地域に配慮した取り組みをされているとは思いますが、業界全体で『サステイナブル』への積極的な取り組みを明確にし、世界的にも『日本酒はサステイナブルなお酒』と打ち出していけば、新たな扉が開く気がします」