ローンのない人は?

―――なるほど! では住宅ローンを組んでいない人は、ボーナスをどうすれば良いのでしょうか。

荻原:住宅ローンをはじめとする負債を全く抱えていない人は、投資するのではなく預金をしましょう。といっても、際限なく預金の残高を増やす必要はありません。メドは自分の年収分です。年収400万円の人は、預金残高が400万円になるまでは、ひたすら貯めてください。

 これは自分がリストラされた時の備えです。勤務先が倒産した時も有効ですね。仮にリストラされたとしても、会社都合で退職すれば最長で10ヵ月間、失業手当が支給されますから、これに1年分の預金を合わせれば、2年くらいは就職先が見つからなくても、生活を維持できます。

―――たしかに来年のことは、まだまったくわかりません。

荻原:住宅ローンを減らし、かつ1年分の預金を持つというのは、先が見えない時代だから。先行き不透明な時代を生きている私たちは、少しでも生活していくうえでのリスクを減らす必要があるのです。

 だから、ボーナスで投資をしてリスクを積み重ねるのは反対ですし、住宅ローンというリスク要因を抱えている人は、それを少しでも有利に返して欲しい。また、自分が仕事を失って収入が途絶えるリスクに備えて、自分の年収分の預金を持つようにして欲しいのです。

 なので、ボーナスのお金で投資をしている暇があるなら、住宅ローンを返済し、預金額が年収と同額に達するまで預金を積み上げろと言いたいですね。

―――では、住宅ローンもないし、年収分の預金はすでに準備してあるという人は、どうすれば良いのでしょうか。

荻原:投資をしましょう。

―――でも、投資するなっておっしゃったじゃないですか!

荻原:住宅ローンや子どもの学費のメドがつき、しかも年収分の預金を持っている人は、もう何をやっても良いですよ。それも歳が若い人で、この条件に合うのであれば、思う存分、投資してみてはいかがでしょうか。

 でもそれは、「投資で儲けろ」というよりも、世の中の仕組みを理解するうえで投資は有効だと考えているからです。50万円投資して、それを100万円、200万円に増やすということよりも、50万円は世の中の仕組みを知るための授業料と心得るのです。

 その意味では、他人に運用してもらう「投資信託」を買うのではなく、「株式」「外貨預金」、あるいは投資信託でも「ETF」のような、マーケットの動きを直接反映するような投資商品を選ぶべきだと思います。

お金持ちが決してやらないボーナス2つの使い道荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954(昭和29)年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済のしくみを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『役所は教えてくれない定年前後「お金」の裏ワザ』(SB新書)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版新書)、『投資なんか、おやめなさい』『払ってはいけない』(新潮新書)、『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』(文藝春秋)など。
お金持ちが決してやらないボーナス2つの使い道