経済政策ひとつで景気はどう変化する?
坪井 今回「株価」と「株」が動いたということは、安倍さんの発言で「日本はこうなるんじゃないか」と予測した人がたくさんいた、ということだよね。
―なるほど、「期待」されたんだ。
坪井 その通り。「期待」と「予測」は同じなんだ。金融緩和をさらに進めるとお金の量がどんどん増えるでしょ?お金が増えると金利が下がる。そうすると、企業や個人が銀行からお金が借りやすくなって市中に多くのお金が流れる。結果的に通貨価値が下がって円安になるだろう、と予測できるわけ。
円安になると、まず、輸出業の収益が改善するよね。そこで今回、「輸出業の業績がよくなるんじゃないか」と予測する投資家が増え、株価が上がったんだ。こうして株にお金が集まると、利回りの低い国債を買わなくなるので債券価格が下がる。そして、長期金利は上昇傾向になる。
―ぐるぐる回ってますね。ドミノ倒しみたいに影響が連鎖しているのがよく分かります。
坪井 忘れちゃいけない大原則をもうひとつ。為替、たとえば円とドルでは、金利が高くなると予測される方の通貨にお金は集まっていくんだ。100円預けたとして、101円になって返ってくるのと105円になって返ってくるのでは、105円の方が嬉しいよね。
―そりゃそうだ!できるだけラクして儲けたいです(笑)。
坪:でしょう?だから、日本の金利がアメリカや欧州より低くなる方向へ行く、と予測すれば円安になる。過激な金融緩和が実現すればお金の量が増えて金利が下がる方向の円から、ドルやユーロへお金が移動しているわけなんだ。こうして「予測」でぐるぐるお金は影響しあっていく。