ただのお湯より温泉の方が
体が温まり湯冷めしにくい理由
温泉が本当に体にいいのか、疑問に思ったことはないだろうか?
特に、ただのお湯(さら湯)よりも体を温めたり、湯冷めしにくいという話は本当なのか?
市立札幌大通高等学校と健康保養地医学研究所などが共同で行った実験がある。110リットルの浴槽2つにさら湯と天然温泉(ナトリウム塩化物泉)を入れ、入浴中の脳波と入浴後の皮膚温度変化を測定した。すると温泉に入ったときの脳波の方が、さら湯よりも入浴後の皮膚温度も下がり方がゆるやかだった。
ナトリウム塩化物泉は海水の成分に似て、温泉中に食塩が多く溶けている。こうした塩類は皮膚の表面のタンパク質や脂肪と結びつき、塩被膜というごく薄い膜で体の表面を覆う。要するに全身をパックしているようなものである。
そのために熱が逃げにくく、保温効果が高くなる。さらに食塩水の浸透圧効果で皮膚が刺激され、自律神経が活発に働いて血管が拡張、血流が増えて保温力が増す。
入浴剤の中にはお湯に溶かすと炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させるものがあり、温泉にもお湯の中に二酸化炭素が溶け込んでいる炭酸泉がある。
二酸化炭素が溶けたお湯には血管を拡張させる効果がある。人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐くが、二酸化炭素の溶け込んだお湯に入ると皮膚から二酸化炭素が吸収され、組織中の二酸化炭素濃度が上昇する。
体からすれば、急激に体内の酸素や栄養が消費され、二酸化炭素が発生したことになる。そのため、早急に二酸化炭素を排出して新たに酸素と栄養を組織に送ろうと血管が拡張して血流が増加、そのために体温が上昇するわけだ。