この表でもうひとつ注目してほしいのは時価総額です。左右を見比べると10倍以上になっています。日経平均株価はいまだにバブルのピークを超えられませんが、米国のダウ平均株価は89年の2753ドルから現在の3万5800ドルへと13倍に増えています。中国の名目GDPは日本の6分の1ほどでしたが、この32年で30倍以上に成長しました。日本経済は世界に置いていかれているのです。

藤原和博氏が教える、100万人に1人の存在になるための「掛け算戦略」

 グローバル化、デジタル化で勝ち組企業が大きく変わる中、世界のどこでも必要とされる存在になるにはどうすればいいでしょうか。他に代替できない「希少性」を磨くしかないと私は思います。

 私は自分のことを100万人に1人の存在だと思っています。今、65歳ですが、私に企業や団体から年に100回ほど講演や研修のオファーがあり、コンサルティングも行い、取材や執筆、テレビやラジオにも呼ばれます。それは私に希少価値があるからです。

100万人に1人の存在は
日本に数十万人はいる

私は常々、皆さんにも100万人に1人の存在を目指してほしいと話しています。「今からじゃとても無理だ」と思われるかもしれません。そんなのはとてつもない才能と運と環境に恵まれ、幼少期から努力を続けてきた天才だけ。野球ならイチローか大谷翔平か、サッカーなら本田圭佑か久保建英か、将棋なら羽生善治か藤井聡太あたりを想像するでしょうか。

 日本には1億2000万人しかいないから「日本で120人しかいない存在になれというのか」と問われるかもしれませんが、それは違います。私のような100万人に1人は、おそらく数万人、数十万人くらいはいます。なぜなら、「100万人に1人の存在」は経験とスキルの組み合わせによって成立するからです。100人に1人の“異なる”スキルを3つ持っていれば、100万人に1人の存在になることは可能です。