100万人に1人の存在には
誰でもなれる

 私も何か1つの軸で100万人に1人の存在になれたわけではありませんが、3つの軸でそうなることができた。

藤原和博氏が教える、100万人に1人の存在になるための「掛け算戦略」

 1つ目の軸は、「営業とプレゼンテーション」のスキル。私は大学生のアルバイトから22歳でリクルートに入社し、営業職として20代はがむしゃらに働き、そんじょそこらには負けない営業力とプレゼンテーション力を身につけました。優秀な人材が山ほどいたリクルートの中で100人に1人になれたとは思いませんが、世の中の営業で見れば、100人に1人の存在になれたと思います。

 2つ目は「マネジメントと新規事業開発」のスキル。30代では営業部長として東京の営業部隊をマネジメントし、その後、新規事業担当部長になり書籍出版部門を作ってメディアファクトリーという出版社を立ち上げました。このような経験をしたマネージャーは100人に1人でしょう。

 3つ目は「学校教育の改革者」としてのスキルです。私は45歳で東京都杉並区教育委員会で教育改革担当参与をした後、47歳から杉並区立和田中学校の校長を5年間務めました。中学校では自営業者やホームレスなど多様な人を呼んで社会学習をする「よのなか科」を作ったり、学習塾と連携して有料の課外授業を実施したりと、さまざまな教育改革を行いました。

 私のような経験をした校長は100人に1人もいないはずです。この3つの100分の1を掛け合わせて、私は100万人に1人の存在になれたのです。

 100万人に1人の存在には誰にでもなれるチャンスがあります。私は大学生の頃は何者でもありませんでしたが、53歳で100万人に1人の存在になれた。私にはこれからもいろんな話が来て、しばらくは忙しくしていられるでしょう。そして、日本ではこれからの時代、そういう存在にならなければ、長い一生を楽しく生きることが難しいだろうと私は思います。