冷え性の人ほど水風呂に入ったほうがいい

――水風呂の後に外気浴をすると寒いんじゃないかと思っていましたが、意外と大丈夫で驚きました。

加藤:サウナで深部体温が上がって、水風呂で表面の血管がキュッと締まるので放熱しづらくなるんです。魔法瓶みたいに体に熱がこもるので全然寒くないです。

――でも、水風呂が苦手な人は多いですよね。冷え性の人はやめておいたほうがいいですか?

加藤:むしろ逆です。冷え性の人ほど水風呂に入ったほうがいい。

――え!?

加藤:そもそもおかしくないですか? 同じ空間にいるのに、手足がポカポカの人と、冷え性の人間がいるって。それは、寒いという外的環境のせいではなくて、その人の自律神経の機能が下がっているだけなんですよ。

「サウナ→水風呂」だけの繰り返しは、間違った入り方!

――たしかに、人によって寒さの感じ方が違うのは不思議ですよね。それは自律神経の機能が関係していたんですね。

加藤:自律神経の機能を上げるためには、基本的に、1回強い刺激を与えて活性化させないといけません。だからサウナで深部を温めた後、水風呂で「寒い!」という刺激を与えたほうがいいです。中途半端に部分的に温めるほうが冷え性になります。

――例えば、カイロで部分的に温めるのはダメなんですか?

加藤:一時的には楽に感じられますが、冷え性改善には、なんの意味もないです。そもそもなぜ自律神経の機能不全になるかというと、自律神経って、けっこう微細なコントロールをしているわけですよ。服に覆われているところは温かいから血管を拡張して、出てるところは冷たいから収縮して。そういう微細なコントロールを全身やっているわけです。で、それをやっている自律神経の中枢は、そんなに神経細胞が多くない。要するに、深夜バイトみたいな感じで、色々な機能を同時にやらされている。一人しかいないのに、ドライブスルーにも、カウンターにも客が来て、掃除もしてみたいなことを一人でずっとしているような状態。

――なるほど、自律神経はワンオペ状態なんですね。

加藤:はい。ワンオペで色々なことをずっとやっていると機能がダメになっていくんです。部分的に温めたりすると急にフォローが増えますよね。そういう風に、中途半端にたくさんの機能を使い続けるのがいけないんです。

でも、1つのことだったらワンオペでもできるじゃないですか。カウンターの受付だけならシンプルなので意外ともつんですね。1つの機能に集中させて、がーっと使わせると神経の使い方が効率化されるので、自律神経の機能が高まるんです。だから、水風呂を敬遠せず、冷え性の人ほど入るようにしてください。

【大好評連載】
第1回 「サウナ」のいちばんの効果とは?

「サウナ→水風呂」だけの繰り返しは、間違った入り方!著者・監修/加藤容崇(かとう・やすたか)
慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事
群馬県富岡市出身。北海道大学医学部医学科を経て、同大学院(病理学分野専攻)で医学博士号取得(テーマは脳腫瘍)。北海道大学医学部特任助教として勤務したのち渡米。ハーバード大学医学部附属病院腫瘍センターにてすい臓癌研究に従事。帰国後、慶應義塾大学医学部腫瘍センターや北斗病院など複数の病院に勤務。専門はすい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断。
また、病理学、生理学にも詳しく、人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣による「予防」が最高の手段だということに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。サウナを科学し発信していく団体「日本サウナ学会」を友人医師、サウナ仲間と作り、代表理事として活動中。『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社刊)が初めての著書となる。
「サウナ→水風呂」だけの繰り返しは、間違った入り方!