2021年は、コロナ禍からの回復による需要増加もあり、原油価格の代表的指標であるブレント原油は80ドル台半ばまで上昇した。特集『総予測2022』の本稿では、22年の原油相場、金相場について分析した。22年の原油価格はいったん下落した後、回復する動きとなりそうだ。金相場は強弱の材料が入り混じる中、レンジ相場が続きそうだ。(マーケット・リスク・アドバイザリー代表 新村直弘)
コロナ禍からの回復で需要増加
21年はブレント原油が一時86.70ドルの高値
2021年のブレント原油価格は年初が最も安く、年末に向けて水準を切り上げ、一時86.70ドルまで上昇した。新型コロナウイルスワクチンの接種進捗や経済活動の正常化による需要の回復が最大の要因だ。
これに加えて、北半球が21年初は厳冬、年央が猛暑となり、この冬も厳冬の可能性が高まっていること、異常気象のために自然エネルギー供給が欧州で顕著に減少したこと、それにより天然ガスや石炭といった発電燃料の需要が高まり価格が高騰したことで、代替エネルギーとしての石油製品需要が増加したことなどの特殊要因も価格押し上げに寄与した。
OPEC(石油輸出国機構)プラスの生産調整、米バイデン政権誕生後に加速した脱炭素の流れがオイルメジャーの原油増産を阻んでいることなど、供給面も原油価格の上昇を助長した。
それでは、こうした原油価格の押し上げ要因は22年も続くのだろうか。