株式相場の上昇につられるかのように、商品市況も沸騰している。投資家によって伝統的な実物資産である金はもちろん、銀、プラチナ、銅などが次々と物色され、まるで“連想ゲーム”の様相を呈しているのだ。特集『バブル相場の正体』(全12回)の#6では、商品市況が沸騰する裏事情に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
金利上昇による下げ圧力にも
しぶとく高値圏に居座る金
株式市場の熱狂の陰で、伝統的な実物資産である金が、しぶとさを見せている。
このところの長期金利の上昇、ドル高による下げ圧力が働く一方で、足元の金価格は1トロイオンス当たり1600ドル台後半に居座っている。これは、新型コロナウイルスの感染拡大前を上回る水準だ。
金価格は、株価に比べてコロナ禍からの回復が早かった。
新型コロナ対策として、世界各国の政府と主要国の中央銀行が足並みをそろえて強力な財政出動と金融緩和を実施し、市場に大量の資金が供給された。コロナ禍で先行きが不透明な経済情勢で、安全資産とされる金に投資マネーが流入し、2020年8月には同2000ドルを突破して史上最高値を記録した。
史上最高値を記録して以降、金の堅調な値動きは、その性質が変化している。安全資産の金というより、インフレ懸念や景気回復への期待を受けて、インフレに強い資産という側面に光が当たっているのである。
実のところ、活況に沸いているのは金だけではない。貴金属である銀、プラチナ、非鉄金属の銅や穀物の大豆、トウモロコシなどの商品の価格も、上昇傾向にあるのだ。
商品市況に、いったい何が起きているのか。