2021年5月にはコロナ時代の働き方も踏まえ、分散乗車・混雑緩和等の方策の一つとして、鉄道運賃のダイナミック・プライシングを検討するとの閣議決定がされた。当時の赤羽一嘉国交相は、「ピーク時間帯とオフピーク時間帯の運賃に差をつけることにより、ピーク時間帯の利用者を分散させて混雑緩和を図ることを期待した」と語っている。

 とはいえ、通勤にかかる交通費を負担しているのは企業なので、働く人よりもまず企業が青くなり、結果、「早い時間に通勤せよ」となって早朝時間帯が混雑するだけ――という気もするが…。それならまだしも、企業が「オフピーク時の料金しか支給しない」とでも言い出せば、働く側の持ち出しとなってしまう。「十分な検討を行っていく必要がある」と大臣も答えているので、ぜひそうしてほしい。

 さらに、新幹線料金も見直されるようだ。もともと新幹線の指定席特急料金は、通常期、繁忙期、閑散期で価格が変動する。通常期に比べて繁忙期は200円増し、逆に閑散期は200円引きとなる。

 JR東日本・JR北海道・JR西日本各社は、それに加えて利用者が特に集中する年末年始・GW・お盆期間に通常期の400円増しの「最繁忙期」を新たに設定、4段階料金とすると発表した。これは、2022年4月乗車分からの運用となる。

 つまり、誰もが旅行やレジャーに出かけたい時期に新幹線を使うと、「今より高くなる」わけだ。その代わり、同じ8月でもお盆以降なら通常期料金の対象日にするなど、オトク日もあるのだが…。

「今日は時間が空いたから、テーマパークへ行こうか」は禁句に?

 とはいえ、こうした価格変動制は新しいものではない。分かりやすい例で言うなら、ホテルの宿泊料金は平日より休日の方が高いし、ビジネスホテルだって予約の入り具合によって細かく値段を変えている。プロ野球でも、巨人・阪神戦など人気カードでは高くなり、そうでもない球団同士だと“バリュー価格”で販売される。

 中でも2021年に話題になったのが、東京ディズニーランド・ディズニーシーが変動価格制を導入したことだ。2021年3月から時期や曜日ごとに異なるチケット価格が設定され、客が集中する週末や休日、長期の休み期間は、高めの金額となった。1デーパスポート(大人料金)の直近の金額を見ると、最安日は7900円、その上が8400円、8900円、年末年始は最高値で9400円と、その差は1500円にもなる。