22年卒の求人は
意外に底堅い動き
リクルートワークス研究所が21年4月に発表した22年卒の有効求人倍率は1.50倍となり、前年の1.53倍に比べ若干下がったものの、21年に比べればわずかなものだった。
そもそも有効求人倍率は、企業側の採用予定数と学生側の就活生数の比率である。就活生(学生の民間企業就職希望者数)は例年、それほど大きな変化はなく、少しずつ増えている。一方、企業の求人総数は景気動向などを反映し、年によって大きく変わる。
たとえば、バブル景気のピークである1991年3月卒の求人総数は84万人を超えたが、就職氷河期といわれた96年3月卒では39万人へと半減した。あるいは、リーマンショック前の08年3月卒と09年3月卒は90万人を超え、11年3月卒から14年3月卒までの4年間は50万人台に下がった。当時と比べ、22年3月卒の求人総数は67万人強と底堅かったのだ。
これは、コロナ禍で深刻な影響を受けた特定の業種を除き、おおむね学生を継続的に採用していこうという方針を持つ企業が多かったためである。
その背景には、バブル崩壊後に大きく採用を減らした結果、社内の人員構成に歪みが生じ、人材育成や好景気時の経営戦略に支障を来した反省があるといわれる。
また、求人数(採用数)は毎年4月末に発表され、投資家や株主、社員も注目しているため、企業にとってはあまり大きく変えるわけにはいかない事情もあるだろう。
逆に言うと、毎年の採用予定数が同じでも、業績好調なときは必達目標、業績が悪化しているときは上限目標というように、同じ人数であっても意味が変わる。