【2.なぜ、できたのか聞く】

 次に、できた理由を探ります。人はできなかった原因を考えることはあっても、できた理由を考えることはあまりありません。しかし、人が行動を変えるためには、そもそも、なぜ「自分がそうした行動をとったのか?」 と考えを深めていく必要があります。

 そのため、親から「なぜできたのかな?」と聞いてあげるとよいでしょう。では、事例の親子のやりとりを見ていきましょう。

「えらいね。なぜ、部屋を掃除できたんだろうね?」
「散らかっていた部屋で過ごしたくなかったから」
「へえ。なぜ、散らかった部屋だと過ごしたくないんだろうね?」
「汚いと落ち着かないしイヤだから」
「なるほど。なぜ、落ち着かないとイヤなの?」
「気持ちよく勉強する気も起きなくなるから」

 このように、「なぜ?」と質問を繰り返すことで、「部屋の掃除をした」という出来事の本当の目的が、「気持ちよく勉強をする気になるため」であることが明確になりました。

 いい行動に着目し、その行動をとった理由がはっきりすると、「次に、また勉強にやる気が出なかった場合には、まず、部屋を掃除してみる」というような、行動の変化が起こりやすくなります。