「スタチン」と呼ばれる種類の脂質低下薬や血糖値をコントロールする薬がありますので、異常値が出たら早めに病院に行くようにしてください。
一方で、DTC遺伝子検査というビジネスが日本で話題になることがあります。口腔内の組織など、体の一部を採取し、その遺伝子を解析し生活習慣病のなりやすさを判断するというものです。
「自分の遺伝子を丸ごと解析する」、非常に近未来的で胸が躍るのは共感できるのですが、残念ながら、DTC遺伝子検査の精度は確立されていません(※2)。医療者からすると「占い程度」の検査です。
現に、アメリカではDTC遺伝子検査の妥当性が証明できないとして実質的に検査は禁止されています。アメリカで禁止されたシワ寄せもあってか、日本での「遺伝子ビジネス」は過熱しています。
「遺伝医療」の今後には大きな期待が集まるものの、現段階ではエビデンス的に有益とされる遺伝子解析の方法は確立されていません。まずはシンプルに「両親の持っている病気には注意を払う」を徹底してください。
※1 Cassandra N Spracklen,et al.Identification of type 2 diabetes loci in 433,540 East Asian individuals.Nature. 2020 Jun;582(7811):240 245.
※2 The American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Genetics .Consumer Testing for Diseases Risk. Obstet Gynecol. 2021 Jan 1;137(1):e1 e6.
(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)