それでは、レベル別に分けられたリーグ戦だとどうでしょう。同レベルの対戦相手と切磋琢磨しながら、年間数十試合を経験できる。試合を経験することで上達しますし、そのことが選手の幸せにもなります。サッカー先進国の多いヨーロッパでは、リーグ戦が主戦場となっています。

 今私は、小学5年生年代の全国リーグであるプレミアリーグU-11の実行委員長として、日本中にリーグ戦文化が根付く活動を行なっています。U-12がJFA管轄で実施されているのですが、その下のカテゴリとして2015年に発足しました。現在は36都道府県で開催し、537チーム、約9600人の選手が年間を通してプレーする日本最大の私設リーグとなっています。

 そこでは独自ルールを導入しています。前後半戦の従来の2ピリオド制ではなく、3ピリオド制で実施。15分を3本行います。また、登録選手の12人〜24人が必ず1本は出るというルールになっています。全員、準公式戦に出場するのです。この効果には、無視できないものがあります。

能力が高い子も低い子も上達し
全体のレベルが向上する仕組み

日本の全スポーツがトーナメント戦からリーグ戦へ移行すべき、根深い事情

 必ず全選手が出場するので、チーム内でさまざまな工夫がなされます。上手な子は能力の劣る選手の分までカバーする。ハードワークすることでさらに上達しますし、また、能力の劣る子も試合に出ることで上達する。両者の差が縮まってくると、練習の強度が高まって、全体のレベルが向上するのです。全選手が能動的にトレーニングに関わるようになったり、声が良く出るようになったりします。

 鹿島アントラーズの下部組織チームもプレミアリーグU-11に所属しており、「全員出場を導入することで、普段だったらサブの選手が非常に伸びた」と監督も話されていました。でも、これって海外では当たり前なんですね。小学生や中学生の年齢では、こうやって機会を与えて楽しみながらスポーツに携わるんです。