Photo:YUTAKA/アフロスポーツ
サッカーワールドカップ日本代表の監督を二度務めた岡田武史氏。Jリーグでも複数のチームの監督を務め、横浜F・マリノス時代にはチームを連続優勝に導いた名将だ。現在はFC今治の代表取締役会長兼オーナーとして経営者の道も歩み始め、スポーツの力による地域振興に注力している。監督はチームの勝利に貢献できなければ解任されることも多い中、岡田氏は結果を出し続けた。氏の手腕から見えてくるコーチングのポイントとは。書籍『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』からその神髄を読み解こう。(文/鈴木 舞)
岡田武史流・目標に向かって
進むためのセルフコーチング
監督の役割とは、チームの状態を把握して練習メニューを組んだり、試合で指揮をとって戦略を考えたりすること。選手への指導や支援を「コーチング」と呼ぶが、目標を達成するためには適切なコーチングによって、選手を効果的なプロセスに導くことが重要だ。
岡田監督が個性豊かな選手をまとめ、目標に向けて引っ張っていけたのは、リーダーシップやコーチングスキルが高かったこともあるだろう。
このコーチングには、「セルフコーチング」と呼ばれるスタイルもある。自分が自分自身のコーチとなり、課題発見や行動分析、モチベーションアップを自立的に行うのがセルフコーチングだ。特に、スポーツを趣味として楽しむ一般人は、セルフコーチングスキルを伸ばしておいて損はない。
サッカーやバスケットボールなどチームプレイが求められるスポーツでも、自主練のように1人で行うトレーニングは不可欠だろう。ランニングや水泳、サイクリングなどはなおさらだ。自分で練習メニューを管理し、レースの戦い方を組み立てなくてはならない。自分自身がプレイヤーであり、コーチでもあるのだ。
岡田氏はサッカーというチームスポーツの名将ではあるが、そのコーチングフィロソフィーから学べることは多い。
そんな岡田氏のリーダーシップに着目し、臨床スポーツ心理学の観点から同氏のコメントを分析した1冊『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』(児玉光雄著/ダイヤモンド社)に、セルフコーチングのヒントがある。