個人事業のほうがおすすめな3つの理由
①手軽に費用をかけずに始められる
②経理処理が簡単
③社会保険に加入しなくていい
順番に説明していきましょう。
①は、個人事業のほうがトータルコストが安いということです。会社設立には大体30万前後の費用がかかりますが、個人事業なら税務署に「事業を始めます」という用紙を出すだけでスタートできます。
また②の経理処理も会社のほうが大変です。個人事業の確定申告は自分で申告する人も多いですが、会社になるとしっかりした帳簿が必要になり法人税の申告書を作成は難易度が高いのでほとんどの人が税理士に依頼することになります。ここにも毎年10万~数十万円程度のコストがかかります。また、会社であれば儲けの有無にかかわらず必ず払わなくてはならない「均等割り」という地方税があり、赤字で儲けがなくても最低7万円を必ず払わなければなりませんが、個人事業主であれば赤字の場合、所得税はかかりません。
さらに③の社会保険料の負担が重くのしかかってきます。個人事業であれば、従業員が5人未満であれば、社会保険に加入する必要はないので、国民健康保険になりますが、会社にすると1人社長の会社であっても社会保険に必ず加入しなければいけません。社会保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担することになっていますので、サラリーマンであれば半分の負担ですみますが、自分の会社だと実質的には会社負担分と従業員負担分を両方を自分が負担することになり、国民健康保険と比べて高額になる可能性が大です。また年金も個人事業なら国民年金となり60歳以上は払う必要がありませんが、会社だと厚生年金の保険料は70歳になるまで負担しなければなりません。
税金面から考えた法人化の目安
個人事業か法人かの問題で、よく言われるのは、所得税より法人税のほうが安くなるラインを越えたら法人化を検討する、という考え方です。そのラインは所得(儲け)で600万円くらいと言われることが多いですが、私はそれに加えて「消費税」を基準に検討するのがいいと思っています。
消費税は、すべての事業者が払うわけではありません。消費税を払うのは、2年前の売上が1000万円を超えた時。つまり2年前の売上が基準になるのです。1年間の売上が1000万円を超えた年の2年後に個人事業を廃業にして、会社を設立すると個人事業者として消費税を払う必要はなくなります。
さらに新しく作った会社には、基準とする2年前の売上がなので、開業後最初の2年は消費税はかかりません(会社の資本金を1000万円以上にしていしますと初年度から消費税がかかってしまうので注意)。
つまり、個人事業からスタートすると、最高4年間消費税の支払いを免れることができるのです。消費税の負担は大きいので、この節税効果は侮れません。
ただし、会社にすることでこれ以外にも余計なコストがかかることもありますので、最終的には税理士に税金だけでなく付随してかかるコストも含めた損得のシュミレーションを頼むことをおすすめします。