【私たちが生きづらい理由<前編>】相手に共感しすぎてしまう私たちが悩みがちなことおがたちえ
漫画家。
実録系4コマ漫画、台湾旅行記、エッセイ漫画を中心に幅広いジャンルで活躍中。2018年よりウェブメディアでHSPを題材にした漫画を発表する。著書に『汚部屋掃除人が語る命が危ない部屋』(竹書房)、『台湾で日本を見っけ旅』(ぶんか社)、『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家』(ぶんか社)などがある。
Twitter:@ogachinpa
note.com/ogatachie/

みさき 直接、お友達の力になれなかった分、そういう形で行動せずにいられなかったんですね。

おがた ええ。そしたら台湾の人が「日本人はこんなに細やかなのか!?」って、ものすごくびっくりして。

みさき ああ、なるほど…。

おがた 私としては、友人がお菓子を近所に配りながらお礼を言うことでコミュニケーションが深まるし、ご近所さんからの友人への心証も良くなるだろうし、何かあったらまた助けてもらえる環境づくりの助けになるはずだと考えたわけです。そうやってどんどん想像して行動しちゃうんですよね。

みさき 今のお話を聞いて、ちょっと私自身の小・中学生の頃のエピソードを思い出しました。私も共感能力が強すぎて、例えば先生の言葉の背景にある気持ちがわかってしまうんですね。こう言えば先生は「合っている」と言ってくれるだろう、褒めてくれるだろうと察しがつく。それで先生が喜ぶようなことを言ったり行動したりするうちに度が過ぎちゃうんです。先生と同じ気持ちになってしまって。

おがた それは、どんな状況で?

みさき 放課後、同級生が授業でわからなかったところを教えたことがあって、それは自体は悪いことではないけれど、今にして思えば、私はまるで自分が先生自身であるかのようにふるまってしまっていたんですね。それで「何だよ、お前、先生でもないのに」って反感を持たれてしまったというか。なぜ同級生を怒らせてしまったのか気づいたのは大人になってからですね。

おがた 先回りしすぎるんですよね。

みさき そう!(笑)

おがた この人はきっとこう思うだろうから、先にこうしちゃおう、って先回りしすぎるのはよくありますね。

みさき 想像しすぎてしまう……。

おがた 私の場合、念のために質問して怒られる。やがて、質問すると怒られるから質問しないようになる点というのが多いですねぇ。

みさき あ、ご相談でも多いですね、そのケース。

おがた 私の場合、編集者はとてもお忙しいのがわかっているので、ちょっとした確認もためらってしまうんですね。単純にメールで聞けばいいのに、こんな基本的なことを聞いて、非常識だと思われるかな、忙しいのにわずらわせて迷惑だと思われるかな……とか想像しすぎちゃう。

みさき わかります、わかります! あるあるです!(笑)

おがた これ、HSPさんの課題だと思うのですが、いわゆる「ほうれんそう」、報告・連絡・相談が苦手!

みさき うん、苦手ですよねぇ……。ご相談に来られる方は「ほうれんそう」に関連して、些細なことでたった一度、指摘されたり叱られたりしたのがきっかけで苦手になる場合がほとんどです。次も同じように叱られることがないようにしなければいけない、同じことで何度も注意される自分ではいけない! と心に刻みすぎてしまって、似たような場面であれこれ先回りして想像して、ますます報告・連絡・相談、確認などが言い出せなくなってしまうんです。

おがた おっしゃる通り!(笑) 指摘されたときの傷つきやすさの度合いが違うんです。

みさき 一般に社会人としての基本とされる「ほうれんそう」に関連して、新人時代に上司や先輩から叱られる経験なんて誰にでもあると思うのですが、HSPさんは、新人のときに些細なことで一度軽く指摘を受けただけで、自分はもうダメだって自らレッテルを貼ってしまう方が少なくないんです。特に20代で相談に来られる方は、すでに「もう職場を辞めなければ」という結論を自分の中に抱えていらっしゃるケースが多い。よく話を聞くと、「ほうれんそう」が苦手とはいえ、いじめられたわけでもなく、自ら「それができない私は社会では働けないダメな人間かも……」というくらい思いつめて来られるんです。

おがた うん、うん。あと、その逆パターンもありますね。「ほうれんそう」で失敗しないように、念のため基本的すぎる質問を細かくして、「そんなことまでいちいち聞かないで!」って叱られる(笑)。その経験が原因で、ますます苦手になるという……。

みさき うんうん! それ、すごく共感します!(笑)。それも本当にご相談が多いです。

おがた その辺、本当に気を遣いながら慎重に様子を見てコミュニケーションしているんですよね。

みさき HSPさんは、つねにそういう気遣い、していますよね……。

おがた でも、最近は編集の方が私がHSP漫画家ということをご存じで、とても気を遣ってくださることもあって、それが申し訳なくて。やっぱり、すみません……!って思っちゃいます(笑)。