成長のチャンスを逃す「損失回避行動」にハマる人・ハマらない人の思考格差成功を掴める人とそうでない人の思考は、どう違うのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

成功を掴んだビジネスパーソンは、大胆なチャレンジをしたり、リスクを問わない行動をとったりする能力がある。リスクを恐れないビジネスマインドが重宝されることは多いが、決断を下すことができる人とそうでない人にはどのような違いがあるのだろう。書籍『オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く』(トビアス・J.モスコウィッツ著、ダイヤモンド社)をヒントに読み解く。(文/鈴木 舞)

ビジネスチャンスを逃さない
意思決定の力とは

 中国の阿里巴巴(アリババ)グループの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が世界的実業家となったのは、ソフトバンクグループの孫正義氏との出会いが大きい。2人の出会いはほんの10分程度の面談。当時は赤字状態だったアリババに対し、孫氏は20億円もの投資を即決した。その後、アリババは破竹の勢いで成長し、いまや投資の何倍もの利益を孫氏に与えている。

 もし孫氏が短時間のうちに投資の決断をしなかったら、これほどまでのアリババの急成長はなかったかもしれない。孫氏も莫大な投資利益を得るチャンスを逃していただろう。チャンスはいつでも手に届く範囲にあるとは限らず、二度と同じチャンスが回ってこないこともある。大胆な決断が大きな利益を呼び込むこともあるのだ。

 ただし、投資にはリスクも伴う。必ずしも利益回収できるとは限らないため、決断は慎重になりがちだ。投資をするか否かを決断する際、リスクを避けて手堅い行動を選ぶ人は多い。しかし慎重過ぎる選択は、利益を遠ざける恐れがある。

リスクを防ぐ損失回避行動が
むしろマイナスの結果を招く

 ビジネスで損失は回避すべきリスクだ。しかし損失回避行動は、デメリットも引き寄せかねない。書籍『オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く』(トビアス・J.モスコウィッツ著、ダイヤモンド社)からは、損失回避行動が意思決定に及ぼすデメリットがわかる。